マウスピース矯正のトラブルでよく耳にするのが、「痛み」に関してです。
この記事ではマウスピース矯正で生じる痛みの種類とその対処方法などをご紹介していきます。
マウスピース矯正治療における痛みの原因

歯が動く痛み
歯は骨の中に埋まっていて、多少の加圧では微動だにしません。しかし、矯正装置を使用し負荷をかけ続けると、歯は少しずつ移動します。
歯に力を加え続けると、歯の周囲にある歯根膜は正常な状態に戻ろうとします。
この際、細胞の働きにより押し付けられた側の骨が溶け、反対側には骨が形成されます。この力を利用して歯並びをキレイに整えます。
このように力をかけ続けることで歯を動かすので、歯が動く際に違和感や痛みを感じることがあります。
矯正装置をつけた直後は、痛みと言うよりも引っ張られている感覚がありその後、平均6.4時間後に痛みを感じ、およそ36時間後がピークに。その後、徐々に痛みは減り、1週間もすれば治まります。
1枚のマウスピースでの歯の移動量はコンピュータ計測で0.25mmです。
この0.25mmとは、歯と骨の間に存在する解剖学的隙間(歯根膜の厚み)です。
つまり歯の隙間分のみ移動させるだけの優しい力を加え、少しずつ歯を動かすので、ワイヤー矯正に比べて痛みが少ない傾向があります。
アタッチメントがあたる痛み
アタッチメントとは歯にかかる圧力を調整することが可能な装置です。設置すると効果的に歯を動かしていくことができます。治療箇所やその状態によってアタッチメントの形状、数、設置場所を決めていきます。アタッチメントは歯とほぼ同色の樹脂でできており、治療後には撤去します。
アタッチメント自体は歯の表面につくので、口の中に違和感を感じる方もいますが、普段はマウスピースが被さるのでそれほど気にならなくなります。
アタッチメントの出っ張りが口の中で引っ掛かり、口内炎や口内の傷の原因となり、痛みを引き起こすことがあります。また、マウスピース取り外しの際にこの出っ張りに引っ掛かり、痛みを感じる人もいます。
噛んだり、上下の歯がぶつかった時の痛み
矯正中は、常に歯に圧力がかかっている状態が続いています。圧力がかかっている歯は敏感になっていることがあり、硬い物を噛んで衝撃が加わったり、上下の歯が強くぶつかりあった時に、普段よりも痛みや違和感を感じることがあります。
ただ、この痛みも矯正が進むことで緩和されていきます。もし痛みがある場合などは、硬いものを噛むような食事はなるべく避けるようにし、柔らかいものを選ぶように心がけてみてください。
しかしマウスピース矯正では上と下の歯が直接接触することは、マウスピースを外しているとき以外はありません。マウスピースが歯を守っている状態になるため、咬む力が直接加わらない状態で歯を優しく移動させていきます。
マウスピースが歯肉や舌に当たる痛み
マウスピースが歯茎や舌にあたり続けると、傷や痛み、口内炎の原因になる場合があります。
ゴムをかけたことによる痛み
マウスピース矯正の一つであるインビザラインの場合、ゴムを使用する場合があります。ゴムを使用して歯を引っ張る力を強め、歯により強い圧力をかけて移動させる方法です。
そのため、強い力が加わるので痛みが生じることがあります。ただ、痛みがあるからといって使用を中断してしまうと治療期間がのびてしまったり、思ったような治療結果を得られなくなってしまうため、自己判断でゴム掛けを中断せず、痛みが数日でおさまらない場合は歯科医師に相談するようにしましょう。
久しぶりにマウスピースをつけた時の痛み
長期間マウスピースを装着しないでいると、歯の後戻りが起きてしまうことがあるので、久しぶりに装着すると痛みが出てしまう場合があります。
マウスピース矯正中の痛みを和らげるには

矯正による痛みは人によりますが、マウスピース型カスタムメイド矯正装置は耐えられないほどの痛みを感じることはなく、2~3日違和感を感じる程度と言われています。
歯が動く痛みへの対処法
マウスピース矯正は、矯正器具が柔らかいプラスチックでできているため、口内に当たる痛みも少なく、口内炎ができにくいという特徴があります。そのため、生じる痛みの多くは歯が動く際のものです。
歯が動くことによる痛みには、氷で冷やす対処法がおすすめです。ロキソニンなどの市販薬を飲むことでも痛みは抑えられますが、これらの薬が持つ炎症を抑える作用により、歯の移動に影響が出てしまう可能性があります。歯の痛み=歯が動いているということなので、その妨げになるようなことはなるべく避けるようにすることをおすすめします。
アタッチメントがあたって痛いときの対処法
この痛みに対しては、「矯正用ワックス」でアタッチメントの凸部部分を覆うことで対処できる場合が多いです。矯正用ワックスの使用に関しては、担当の歯科医師に相談してみることをおすすめします。
噛む時の痛みと対処法
なるべく柔らかい食べ物を選択するようにし、固い食べ物はよく火を通すなどして柔らかくしてから食べるようにしましょう。
子供の矯正治療の痛みと対処法
子供の矯正治療は、大人の矯正治療に比べて比較的に痛みが少ないと言われています。その理由は動かす歯の範囲や数が、大人と比べて少ないからです。
また子供は適応能力が高く、その痛みに慣れてしまうため、大人より違和感に順応するのが早いためです。
どうしてもお子様が痛がる場合や、保護者として心配な場合は、かかりつけの矯正歯科医院で担当の歯科医師にご相談してみてください。
器具を調整してもらう
マウスピース矯正であれば、耐えられないほどの痛みは出にくいですがどうしても痛い場合は、担当医に相談してみましょう。器具を調整することで痛みが緩和されることがあります。
また、マウスピースが歯肉や舌に当たって痛い場合は、マウスピースをヤスリなどで削ることで痛みを取り除くことができます。
削りすぎてしまうと、変形してしまう原因になるので、不安な場合は、通院している歯科医師に削ってもらいましょう。少し研磨をしたり調整をすることで痛みが和らぐことがありますので、我慢せずにまずは相談することも大切です。
後戻りに関連する痛みの対応
耐えられないほどの痛みを感じられた場合やマウスピースの浮きが多い場合は、マウスピースの使用を一度止め、早めに担当医まで連絡をしてください。
※歯の後戻りを防ぐため長期間通院できない場合は、必ず最後に装着したハードのマウスピースを1日20時間以上装着するようにしましょう。
鎮痛剤について
あまりに痛みが強すぎる場合は、かかりつけの歯科医院で処方された鎮痛剤や市販で売られているロキソニンやバファリン、カロナールなどの痛み止めを服用することも可能ですが、上述した通り痛みの緩和が矯正の妨げに繋がることもありますので、担当の歯科医師と相談した上で用法と用量を守って服用しましょう。
(番外編)マウスピース矯正と顎関節症

顎関節症とは
口の開閉時にコリコリやカックンと音がしたり、痛みがある場合、顎関節症の疑いがあります。症状の重さは人それぞれですが、大きい物を食べることができなかったり、欠伸をするときに痛みを伴うことがあります。
顎関節症の原因は
今までは「顎関節症は噛み合わせが原因」と考えらていましたが、現在では情動系に主な原因があるということが明らかになりました。
現代の医学では、下記のことが原因とされています。
- 日常的に歯ぎしり、食いしばりをしている
- 精神的なストレス(緊張や不安、気分の落ち込み)を感じる
- 硬い食べ物を好んで食べる習慣がある
- その他に癖がある(片方の歯で噛む、等)
矯正治療と顎関節症は無関係
矯正歯科の先進国であるアメリカの矯正歯科学会(AAO)で、歯の矯正と顎関節症の因果関係について見解を出していますが、矯正治療の内容や結果に関わらず「矯正治療が顎関節症に影響を及ぼすという根拠は無い」と公式に発表されています。
つまり、矯正治療は顎関節症に害は無いと明確に示しています。
マウスピースが原因で顎関節症になったのでは?という口コミをインターネットなどで目にすることがありますが、これから矯正治療をする方はそのような心配はして頂かなくても大丈夫です。
ただし、マウスピース矯正を始めてから明らかに顎関節に違和感をおぼえたなどの症状が出た場合は、速やかに担当の歯科医師に相談しましょう。
まとめ

今回はマウスピース矯正に伴う痛みとその対処法をご紹介してきました。普段の生活に支障をきたすほど痛みを感じる人もいると思いますが、対処法などが分かっていれば少しは心持ちも変わるのではないでしょうか。
もちろん自分ひとりで判断ができないことは、担当の歯科医師に相談してみるのが良いでしょう。
またそれ以外にも費用や期間など、不安になっている方もいるかと思います。他の記事でそちらについても紹介していきたいと思いますので、引き続きご愛読お願い致します!
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