歯科矯正に抜歯は必要?抜歯が必要なパターンと治療の流れを解説

大分大学医学部医学科卒業。医師として救急医療や在宅医療に従事し、マウスピース歯科矯正hanaravi(ハナラビ)を提供する株式会社DRIPSを創業。医療現場で予防の重要性や予防に取り組んでもらうことの難しさを痛感。美容という切り口で本質的な予防につなげる入口として、口腔という臓器に興味を持つ。口腔環境が多くの臓器に影響を及ぼし、多くの病気に繋がってしまうというポイントから予防について新聞・テレビ・WEBメディア等で情報を発信している。
 

「歯科矯正を希望したら、歯科医師に抜歯が必要と言われた」

きれいな歯並びにしたいとは思っても、できれば健康な歯は抜きたくないものです。しかし抜歯せずに矯正すると、口元が出て以前の顔と変わってしまうということもあります。

この記事では、歯科矯正で抜歯が必要になる場合と抜歯のメリットを説明し、抜歯による治療の流れを紹介します。

1.歯科矯正で抜歯が必要になる主なケース

歯科矯正と聞くと、抜歯必須のイメージがあるかもしれません。
しかし、患者さんの歯の状況によって、抜歯が必要なケースもあれば抜歯せずに矯正できるケースもあります

歯科矯正で抜歯が必要になる主なケースは以下の4つです。

  1. 顎が小さく矯正するための空間がない
  2. 上下の噛み合わせが悪い
  3. そのまま矯正すると口元が出てしまう
  4. 親知らずによって歯並びが悪くなっている

① 顎が小さく矯正するための空間がない

顎が小さい場合は、歯科矯正の際に抜歯が必要になる可能性があります。

なぜなら、顎が小さいと、矯正で正しい位置に歯を並べようと思っても空間が足りないためです。

抜歯せずに矯正しようとしても、歯が前後バラバラのままになってしまい、歯並びが改善されません。

顎が十分に大きい人は、歯列の幅を広げる治療を行うことで歯列全体を広げ、抜歯せずに空間を広げることが可能な場合があります。

しかし、もともと顎の小さい人は歯列自体を広げることは難しく、抜歯による空間確保が一般的です。

顎が小さくそのままでは矯正できない場合、抜歯して空間を設け、空けた空間を埋めるように歯の位置を動かします。

② 上下の歯の噛み合わせが悪い

抜歯 噛み合わせ

上下の歯の噛み合わせが悪い場合も、歯科矯正で抜歯が必要になります。

噛み合わせが悪い例としては、出っ歯(上顎前突)や反対咬合(下顎前突)などがあります。

出っ歯は、上の歯列が下の歯列よりも前に出ている状態です。出っ歯の歯科矯正は一般的に、前に出てしまっている前歯を後ろに動かして治していきます。

歯を後方に下げる際に、十分な空間がない場合は、空間確保のための抜歯が必要になるケースがあります。
抜歯をすることで、歯を後ろへ移動させる空間ができるためです

また本来上の歯が前に出ているのが正しい歯並びですが、反対に下の歯が前に出てしまっているケースが反対咬合です。
大人の場合には、矯正器具によって
上の歯を引き出して治療を行います。

hanaravi(ハナラビ)では、経験豊富な歯科医師が口腔内をチェックし、一人ひとりに合わせたオーダーメイドの矯正プランを作成します。そのため、抜歯を最小限に抑えて矯正をすることができます。

③ そのまま矯正すると口元が出てしまう

抜歯せずに歯科矯正すると、口元がきれいな形にならないと予想される場合も抜歯が必要になります。

抜歯せずに治療を進めることはできるものの、空間のないところに無理やり歯を並べることで口元が出てしまう場合があります。口元が前に出ることで、美人の基準であるEラインが崩れてしまう可能性があります

Eライン(エステティックライン)とは、下あごの突端部と鼻先を結ぶ線のことです。上下の唇がEラインに重なるか、少し内側に入った状態が理想の横顔とされています。

抜歯せずに矯正した場合、収まりきらなかった歯によって口元が前に出てしまうことがデメリットです。口元が前に出るため、Eラインの外側に唇が出てしまい、横顔美人の基準を外れてしまいます。

「歯並びは改善しても、外見には満足できない」といった状態を作り出してしまう原因になるため、抜歯を行う場合があります。

④ 親知らずによって歯並びが悪くなっている

親知らずが歯並びに悪影響を与える場合には、親知らずの抜歯が必要です。親知らずの生え方にもよりますが、親知らずが他の歯を押すことで、全体的に歯並びが悪くなることもあります。

特に、親知らずが真っすぐに生えず、横向きや斜めに生えている場合には歯並びへ影響をおよぼします。親知らずの生え方が良くない場合には、親知らずを抜くことで他の歯への影響を軽減し、歯科矯正をスムーズに進めることが一般的です。

安く矯正ができると謳っている矯正ブランドの中には、歯科矯正を専門としていない歯科医師が治療を担当する場合があります。

専門外の医師が治療にあたることで、本来は抜かなくていい歯を抜歯するリスクを伴います。

hanaravi(ハナラビ)では、元大学病院に在籍した歯科矯正専門の歯科医師が担当するため、不要な抜歯をするリスクがありません。

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2.歯科矯正で抜歯をするメリット

「抜歯はなんとなくしたくない」と思われがちですが、抜歯することでより美しい歯並びを実現できる症例もあります。

ここでは、歯科矯正で抜歯する場合のメリットを3つ紹介します。

  1. 治療計画を立てやすい
  2. 計画通りに矯正が進みやすい
  3. 理想のEラインに近づけやすい

① 治療計画を立てやすい

抜歯による歯科矯正は、治療計画を立てやすいことがメリットです。

抜歯することで、歯の移動に必要な空間を確実に確保できるため、歯科矯正の治療をスムーズに進められます。

また、抜歯をせずに空間を作る方法として、ストリッピングがよく利用されます。

ストリッピングとは、歯を削ることで空間を作り、歯科矯正する方法です。ストリッピングのメリットは、抜歯せずに治療を進められ、歯の大きさを調整することができる点です。

ただし、ストリッピングで作れる空間は限られており、予定通りの空間を確保できないケースもあります。その場合は抜歯や歯列調整など、複数の方法を組み合わせることが必要になります。

抜歯 方法

② 計画通りに矯正が進みやすい

抜歯を行って歯列矯正を進めることで、計画通りに治療を進めやすくなります。

例えば、歯列を横や前後に広げて歯科矯正する治療方法を選択し、予想より空間が確保できない場合があります。このような例では、治療が予定通りに進まないだけでなく、抜歯が必要になってしまいます。

始めから抜歯を行うことで確実に空間を確保し、当初の治療計画に沿って治療を進めることができます。

③ 理想のEラインに近づけやすい

抜歯による歯科矯正は、理想のEラインに近づけやすいこともメリットの一つです。

歯科矯正に伴う抜歯をしないと、歯の収まる空間が確保できず、前歯が前に突出してしまう可能性があります。前歯が前に出ることで、口元が前方に盛り上がってしまい、Eラインが崩れてしまいます。

Eラインは横顔美人の基準とも言われており、より満足できる歯科矯正を目指す際にはEラインにもこだわることが必要です。理想のEラインに近づけるには、抜歯が必要になる場合があります。

3.抜歯を伴う歯科矯正の大まかな流れ

抜歯 流れ

最後に、抜歯による歯科矯正の大まかな流れを解説します。

歯科矯正は、大きくワイヤー矯正とマウスピース矯正に分けることができます。どちらの治療法を選択しても、治療の流れは概ね同じになります。

① カウンセリングを受ける

抜歯の必要の有無にかかわらず、歯科矯正を希望する場合、まずはカウンセリングを受ける必要があります。

カウンセリングでは、歯並びの悩みや理想の歯並びを歯科医師へ相談し、歯科医師から一人ひとりに合った治療方法が提案されます。このとき、歯科医師やスタッフとの相性や、歯科クリニックの雰囲気を確認しておきましょう

もし希望の治療方法ができないと言われてしまったら、セカンドオピニオンを受けるのも一つの方法です。
セカンドオピニオンとは、別の歯科クリニックでカウンセリングを受け、第二の意見を求めることです。

歯科クリニックはそれぞれ治療方針があるため、セカンドオピニオンを通じて自分に合った治療方法を受けられるクリニックを探すことも選択肢の1つになります。

② 治療方法を決定する

カウンセリングで受けた説明を元に、マウスピース矯正かワイヤー矯正か、治療方法を決定します。

マウスピース矯正・ワイヤー矯正どちらの治療方法を選択するかによって、治療期間や費用、セルフケアの方法などが異なります。それぞれの治療方法のメリットとデメリットを理解して、治療方法を決めましょう。

治療方法 マウスピース矯正(全体) ワイヤー矯正(全体)
治療期間 半年〜1年程度 1〜2年半程度
費用 45万円〜80万円 60万円〜110万円程度
通院頻度 月1回以上 月に1回程度
器具の自己着脱 ×

治療方法を決定後、口の中のレントゲンを撮り、虫歯治療やクリーニングが必要な歯を確認します。マウスピース矯正では、この段階で歯型を取ってマウスピースを作成します。

検査結果や歯型を基に治療計画が作成されます。

③ 抜歯を行う

抜歯 矯正

抜歯が必要だと判断された場合、矯正前か矯正途中のいずれかのタイミングで抜歯を行います。抜歯を行うタイミングは、症例に応じて異なります。例えば、矯正に必要な空間がない場合、最初に抜歯して空間を確保します。

また、出っ歯の場合は、先に矯正を行って歯並びを整えてから抜歯する場合もあります。

抜歯の後は、個人差がありますが、患部が腫れたり痛んだりすることがあります。歯茎の腫れによって顔の見た目にも腫れがわかることもあるため、抜歯する日は休日前や休日中がおすすめです。

④ 矯正器具で矯正する

抜歯後、ワイヤーまたはマウスピースでの矯正治療を開始します。

ワイヤー矯正は歯にブラケットを装着し、ワイヤーを通して調整します。マウスピース矯正は、作成したマウスピースを自分で取り付けるため、矯正器具の取り付けにはワイヤー矯正ほど時間がかかりません。

マウスピース矯正は着脱が簡単にできる一方で、毎日決められた時間装着しないと、矯正の効果が現れないこともあります。したがって、計画性を持って治療に望むことが大切です。

ワイヤー矯正はワイヤー調整のため2週間~1ヶ月に1回、マウスピース矯正は1ヶ月に1回程度の通院が必要です。歯科クリニックによっては、マウスピース矯正は自宅に替えのマウスピースが送られてくるため、通院する必要がないケースもあります。

治療開始後は、マウスピース矯正の場合は半年〜1年程度、ワイヤー矯正の場合は1~2年半程度治療が継続されます。

⑤ アフターケア

矯正が終了した後は、ワイヤー矯正はワイヤーを取り外して保定装置へ交換します。マウスピース矯正も保定装置を装着し、歯が元の位置へ戻ってしまう後戻り現象を抑制します。

保定装置の装着は約1年程度で、装着中も通院が必要です。

4.歯科矯正に関するご相談はhanaravi(ハナラビ)

hanaravi4つの特徴

歯科矯正では、抜歯することで矯正に必要な空間を確保し、よりきれいな歯並びへと近づけます。しかし歯と歯の間や奥歯に空間があれば、必ずしも抜歯する必要はありません。

特に近年は、抜歯しない歯科矯正の技術も発達しており、健康な歯を残す方向へと移ってきています。

抜歯が必要かどうかは歯並び次第のため、まずは自分の歯並びが抜歯しなくても歯科矯正できるかカウンセリングで確認してみましょう。

監修歯科医師のご紹介
各務康貴(歯科矯正医)

各務 康貴(医師)

大分大学医学部卒業。医師として救急医療や在宅医療に従事。若年層に予防や多くの臓器にアプローチするため口腔環境に興味を持ち、マウスピース矯正hanaraviを手掛ける株式会社DRIPS創業。

監修歯科医師のご紹介
セレスタ麻里子(歯科矯正医師)

セレスタ麻里子
(矯正専門歯科医師 渋谷F&B矯正歯科・東京

神奈川歯科大学歯学部卒。神奈川歯科大学歯学部歯科矯正学講座。日本矯正歯科学会。歯科矯正で15年のキャリアを持ち、ワイヤー矯正(表・裏)だけでなく、マウスピース矯正も専門とする。