歯科矯正は痛い?歯科医師がその原因と対策を解説

歯科矯正中の痛み、なぜ起きる?知っておきたい原因と対策

大分大学医学部医学科卒業。医師として救急医療や在宅医療に従事し、マウスピース歯科矯正hanaravi(ハナラビ)を提供する株式会社DRIPSを創業。医療現場で予防の重要性や予防に取り組んでもらうことの難しさを痛感。美容という切り口で本質的な予防につなげる入口として、口腔という臓器に興味を持つ。口腔環境が多くの臓器に影響を及ぼし、多くの病気に繋がってしまうというポイントから予防について新聞・テレビ・WEBメディア等で情報を発信している。
 

「歯科矯正を考えているけど、痛みに耐えられるのか不安」

「矯正中の痛みってなぜ起こるの?」

そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

痛みの感じ方には個人差があり、「鎮痛剤が必要なくらい痛い」と感じる人もいれば「全く痛くない」という人も。

ただ、痛みが出やすいタイミングがあるのは事実です。

この記事では、歯科矯正中の痛みの原因や対策について解説していきます。

さらに矯正経験者のリアルな声やアンケート結果もご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

1. 矯正治療で痛みを感じる理由

歯科矯正治療による痛みの原因は大きく4つです。

  1. 歯が動く痛み
  2. 矯正装置が当たる痛み
  3. 抜歯直後の痛み
  4. 食事中の痛み

以下で詳しく解説します。

(1) 歯が動く痛み

歯科矯正中に痛みを感じる主な原因は、歯が動くメカニズムにあります。

歯科矯正治療では、ワイヤーやブラケット、マウスピースなどの装置を使って、歯に一定の力を加え続けます。

この力により、歯を支える周囲の骨組織が歯の移動に伴って吸収され、新たな骨が形成されます。

この過程において神経が刺激を受け、それが痛みとして感じられるのです。

ただし、この痛みは歯が新しい位置に安定するにつれ軽減します。

痛みの感じ方は個人差がありますが、通常はそれほどのストレスになる痛みではありません。

矯正装置の調整をしたりマウスピースを交換した日から数日~1週間程度で痛みがなくなることがほとんどです。

(2) 矯正装置が当たる痛み

ワイヤー矯正の場合、歯科矯正中に装置が口内に当たることで痛みを感じることがあります。

矯正を始めてすぐは、慣れていないため特に不快感や痛みを感じやすいでしょう。

装置が当たりやすい場所は口内炎や傷になりやすく、出血することもあります。

人によっては大きなストレスになり、矯正を挫折してしまう人も少なからずいるのが事実。

マウスピース矯正の場合はそれぞれの歯並びに沿ったマウスピースを使用するため、装置が当たる痛みが出ることはあまりありません。

痛みに弱い自覚がある人は、マウスピース矯正を選ぶことをおすすめします。

(3) 抜歯直後の痛み

抜歯矯正の場合、抜歯直後は痛みが強く出ることがあります。

痛みのピークは抜歯翌日といわれており、数日~1週間程度で腫れや痛みは治まる人が大半です。

通常は、抜歯をした歯科医院で鎮痛剤を処方してもらえるので、用法用量を守って服用することで痛みを抑えられます。

(4) 食事中の痛み

ワイヤー矯正の場合、硬い食べ物や大きな食べ物を口に入れて噛もうとすると、矯正装置が歯肉に当たることで痛みを感じることがあります。

また、矯正中は食べ物が歯に挟まりやすく、不快感を感じることも。

  • 硬い食べ物や大きい食べ物は小さく切ってから食べる
  • 食べ物が矯正装置に挟まった際は無理に取らず歯ブラシや歯間ブラシ、フロス等を使ってこまめに取り除く

など、工夫をしましょう。

マウスピース矯正であれば食事や口腔ケアの際に矯正装置を外せるため、このような痛みや不快感を感じることはありません。

ただし、マウスピース矯正の適応になるかどうかは歯科医師の判断によります。

興味のある人は、一度歯科医師に相談してみてくださいね。

hanaraviは矯正経験豊富な医師が対応
hanaraviでは、矯正治療の専門知識が豊富な、専門の歯科医師のみと提携しています。
患者さんひとりひとりにあった、最適な矯正計画を提案します。

2. 矯正中に最も強く痛みを感じやすいタイミング

矯正中、最も痛みを感じやすいタイミングは以下の2つの時期です。

  1. 矯正治療開始直後
  2. 矯正装置調整後・マウスピース交換直後

以下で詳しく解説します。

(1) 矯正治療開始直後

矯正治療開始直後は、最も痛みを感じやすいタイミングといってもいいでしょう。

今まで安定して生えていた歯に力が加わるため、ほとんどの人が痛みを感じます。

この痛みは激痛ではなく、ジワジワとした歯がゆいような痛みのことが多いですが、人によっては我慢できないと感じる人もいます。

いずれにせよ、歯が動く際の痛みは数日~1週間程度で落ち着きます。

(2) 矯正装置調整後・マウスピース交換直後

ワイヤー矯正の場合は矯正装置の調整後、マウスピース矯正の場合はマウスピース交換直後が痛みの強くなるタイミングです。

安定してきた歯が新たに動き始めるので、矯正開始直後と同じような痛みが発生します。

この場合も数日~1週間程度で痛みがなくなることが多いので、心配はいりません。

3. 歯科矯正で歯が動く仕組み

歯とその周辺の組織の断面図

ここでは、歯科矯正で歯が動く仕組みを解説します。

歯は骨から直接生えているわけではなく、歯根膜によって歯槽骨(歯茎の骨)に固定されています(上記の図参照)。

歯根膜は1mm以下の非常に薄い組織で、歯根部分の表面にあるセメント質と歯槽骨の間を結び付ける役割を持つ繊維性の膜(組織)です。

矯正装置により継続的に歯に圧力を加えることで、以下のことが起こります。

  • 圧がかかった側(歯が動く方向の歯の側面)の歯根膜は厚さが縮まる
  • 逆側(押されている側)の歯根膜は引っ張られ組織が伸びる
  • 圧迫された側の歯根膜に骨を溶かす細胞(破骨細胞)が出現し、スペースができる

そのスペースを利用し、歯を動かしていくことで歯並びを改善するのが歯列矯正の仕組みです。

また、その過程で一時的な痛みが出るのは自然なことです。

骨形成のイメージ図。骨が破壊されたあとは骨芽細胞によって新しい骨ができるので、心配いりません。

骨が溶けるといっても、歯が動いた後には骨芽細胞によって新しい骨が作られるので心配はいりません。

歯科矯正では、骨や歯、周辺組織に負担がかからないよう、力のかけ方や移動距離、角度などを歯科医師が緻密に計算して最適な治療プランを作成します。

そのため、歯列矯正は専門の歯科医師でないと治療が難しいといわれています。

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患者さんひとりひとりにあった、最適な矯正計画を提案します。

4. ワイヤー矯正とマウスピース矯正、どちらが痛い?

ワイヤー矯正とマウスピース矯正、どちらの方が痛いのか気になる人も多いのではないでしょうか。

一般的には、歯科矯正においてはワイヤー矯正の方が痛いといわれています。

ただし、痛みの感じ方には個人差があり、一概にはいえません。

そこでこの章では、ワイヤー矯正の痛みとマウスピース矯正の特徴とそれぞれの痛みについて解説します。

  1. ワイヤー矯正の矯正の特徴と痛み
  2. マウスピース矯正の特徴と痛み

(1) ワイヤー矯正の特徴と痛み

部分矯正 ワイヤー矯正

ワイヤー矯正は、ワイヤーとブラケットと呼ばれる装置を歯に直接装着し、歯を動かしていく矯正方法です。

歯の表面に装置を着ける方法を表側矯正、歯の裏側に装置を装着する方法を裏側矯正(リンガル矯正)といいます。

どちらも歯が動く痛みと歯に装置が当たる痛みが発生しやすいのは共通していますが、裏側矯正の方が装置が当たる痛みが強く出やすいといわれています。

表側矯正

歯列矯正 ワイヤー矯正 表側矯正

表側矯正の場合は、歯の表面にワイヤーとブラケットを装着するため、歯が動く痛みのほかに唇に装置が当たる痛みが発生しやすい特徴があります。

また唇に口内炎ができやすくなったり、傷がつき出血してしまうこともあります。

ただし、他の矯正方法よりも適応症例が多く、重症例でも治療可能なケースが多いのはメリットです。

表側矯正(ワイヤー矯正)の特徴

裏側矯正

裏側矯正のイメージ画像。歯の裏側(舌側)にワイヤーとブラケットを装着しているため、表からは見えづらい。

裏側矯正の場合は、舌側に装置を装着するため、舌に装置が当たりやすく、比較的痛みが出やすい治療法といわれています。

話す際にどうしても舌に当たってしまうため、高い確率で舌が傷ついたり口内炎ができてしまいます。

ただし、見た目に目立ちづらく、対応症例も多いことから人気の高い矯正方法でもあります。

裏側矯正(ワイヤー矯正)の特徴

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(2) マウスピース矯正の特徴と痛み

最短3カ月で綺麗な歯並びを手に入れる!マウスピース矯正のスマイルトゥルー

マウスピース矯正は、薄く透明なマウスピースを一定期間ごとに交換していくことで歯並びを治療する矯正方法です。

各個人の歯型に合わせたマウスピースを装着するため、ワイヤー矯正のように器具が当たって痛みを感じたり口腔内が傷ついて出血することはほぼありません。

新しいマウスピース装着後の1~3日ほど歯が動く痛みをジワジワと感じる程度で、圧倒的に痛みが少ないのが魅力です。

マウスピース矯正の特徴

また、hanaraviでおこなったアンケート調査によると、マウスピース矯正中「ほとんど痛い期間がなかった」と回答した人が最も多く、36.84%でした。

さらに「1日以内に痛みが治まった」と答えた人は31.58%。

このことからも、マウスピース矯正では痛みが発生したとしても長く続かないことがわかります。

マウスピース矯正の痛みに関して、hanaraviのユーザーにインタビューをした結果をまとめた画像

「痛みに弱いけれど矯正はしたい」という人は、マウスピース矯正が最も痛みのリスクを少なく治療できるのでおすすめです。

5. 歯科矯正中の痛みの対処法

歯科矯正中は、多少なりとも痛みが発生します。

そのため、痛みが辛いときの対処法を知っておくことが重要です。

以下の5つの対処法を頭に入れておきましょう。

  1. 痛み止めを利用する
  2. なるべく刺激を与えないようにする
  3. 時間経過を待つ
  4. チューイーをよく噛む・装着時間を長めにとる(マウスピース矯正の場合)
  5. 明らかに異常な痛みがある場合はすぐに歯科医師に相談する

以下で詳しく解説します。

(1) 痛み止めを利用する

痛みが我慢できないときは、痛み止めを利用しましょう。

担当の歯科医師に相談すれば処方してもらえます。

また、市販の鎮痛剤を利用してもよいでしょう。

どの薬を利用してよいかわからない場合は、担当医に相談するのが最善です。

(2) なるべく刺激を与えないようにする

痛みが強い場合、固いものよりも柔らかいものを食べるなど、なるべく刺激を与えないようにするのも重要です。

また、矯正期間中は知覚過敏になりやすいため、冷たすぎるものを食べたり飲んだりしても痛むことがあります。

痛みがあるうちはなるべく刺激を与えないようにしましょう。

(3) 時間経過を待つ

矯正中の痛みは、時間経過につれて軽減します。

そのため、時間経過を待ち様子をみることが大切です。

ただし、時間が経つにつれて痛みが激しくなったり、激しい痛みが続くようであれば異常が起きている可能性があるため早めに歯科医師に相談しましょう。

(4) チューイーをよく噛む・装着時間を長めにとる(マウスピース矯正の場合)

チューイー

hanaraviの矯正プランに無料でついてくるチューイー

マウスピース矯正の場合は、チューイー(画像参照。マウスピースをフィットさせるための補助道具)を噛む時間を長めにとったり、マウスピース装着時間を推奨時間よりも長めにとることで、早く痛みがなくなりやすいといわれています。

また、マウスピースの装着時間が短いと、歯が動き切る前に元に戻ろうとするため、いつまで経っても痛みがおさまりません。

動き切らないままマウスピースを交換してしまうと、歯とマウスピースの形に差異が出てきてしまい、痛みが通常より強く出てしまうこともあります。

必ず歯科医師が指示する装着時間を守るようにしましょう。

(5) 明らかに異常な痛みがある場合はすぐに歯科医師に相談する

以下のような場合は、異常が発生している可能性があるので、すぐに歯科医師に相談することをおすすめします。

  • 耐えられないほどの激しい痛みがある
  • 時間が経つにつれて痛みが激しくなっている
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hanaraviでは、LINEを使った相談・サポート体制を整えています。長期休暇中や年末年始なども相談できるので、安心です。 

6. 矯正治療経験者の痛みに関する声・口コミ

矯正治療を受けている人のリアルな感想や口コミをご紹介します。

痛みはそれほどなかった(マウスピース矯正)

マウスピース矯正では、思ったより痛みが強くなかったという口コミも多くありました。

調整後は歯が痛い(ワイヤー矯正)

ワイヤー矯正の場合は、やはり調整後の痛みが強いと感じる人が多い傾向にあるようです。

痛みが来ると歯が動いている実感が持てる(ワイヤー矯正)

矯正を長く続けている人は、「痛いほうが動いている実感が持てる」という声もありました。

痛みがなくなってくると物足りない(マウスピース矯正)

上記の声と似ていますが、「痛みがなくなってくると物足りない」という人も多くいました。

口コミ調査の結果、矯正を続けるうちに歯が動く痛みには慣れるので、長く続けている人ほど痛みをポジティブに受け入れているようでした。

ただし、激しく鋭い痛みがするなど、異常な痛みが発生した場合はすぐにかかりつけ医に相談しましょう。

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hanaraviでは、LINEを使った相談・サポート体制を整えています。
長期休暇の最中でも相談できるので、安心して矯正をすすめられます。

7.歯科矯正の痛みに関するよくある質問と回答

歯科矯正中の痛みに関するよくある質問にお答えします。

矯正を検討している人は、ぜひ参考にしてみてくださいね。