親知らずの抜歯費用を解説!治療内容でどう変わる?保険適用されないケースはある?

大分大学医学部医学科卒業。医師として救急医療や在宅医療に従事し、マウスピース歯科矯正hanaravi(ハナラビ)を提供する株式会社DRIPSを創業。医療現場で予防の重要性や予防に取り組んでもらうことの難しさを痛感。美容という切り口で本質的な予防につなげる入口として、口腔という臓器に興味を持つ。口腔環境が多くの臓器に影響を及ぼし、多くの病気に繋がってしまうというポイントから予防について新聞・テレビ・WEBメディア等で情報を発信している。 https://www.med.oita-u.ac.jp/ https://www.oita-u.ac.jp/
 

抜歯のなかでも、特に抜歯費用が高額になりやすいのが親知らずです

保険適用されるのかどうか、生え方がどうなっているのかによって、その費用は大きく変わります。

この記事では、親知らずの抜歯にかかる費用をさまざまなケースで解説します。

費用を抑える方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

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1.親知らずの抜歯はいくらかかる?治療内容による費用を紹介

親知らずの抜歯にかかる費用は、抜歯の難易度や病院によって異なります。

一般的には、保険適用された場合にかかる親知らずの抜歯の費用は、2,000円~10,000円程度とされています

親知らずが横向きに生えていたり、骨の中に埋まっているなど、抜歯が複雑な場合は費用が高くなりがちです。

ここでは、親知らずの抜歯費用の内訳について紹介します。

(1) 通常の抜歯の場合

親知らずの抜歯費用は、抜歯自体の難易度で大きく変わります。

例えば、親知らずが歯ぐきからくっきりと見えており、まっすぐ生えている状態の場合、1本あたり2,000〜3,000円の費用がかかるとされています

この費用には、痛み止めなどの薬代も含みます。

(2)複雑な抜歯の場合(水平埋伏歯、骨性埋伏歯など)

親知らずの生え方によっては、抜歯が複雑になることもあります。その場合の費用は、1本2,000〜5,000円程度です

「抜歯が複雑な親知らずの生え方」とは、具体的に水平埋伏歯や骨性埋伏歯を指します。

水平埋伏歯とは、親知らずが横向きに生えてしまっている状態の歯です。

また骨性埋伏歯とは、顎の骨の中にほとんど埋まってしまっている状態の親知らずを指します。

これらの抜歯は、通常の抜歯よりも処置が難しく、場合によってはCT撮影などで親知らずの状態を調べる必要があります。

その場合、CT撮影に別途3,500円程度かかり、トータルの費用が1本あたり10,000円近くかかることもあります。

埋伏歯(まいふくし)
ある時期を過ぎても、あごの骨の中や歯ぐきの下に埋まったままの歯。

(3)「診療報酬点数」から見る親知らずの抜歯費用

私たちが受けられる医療行為には、「診療報酬点数」という「点数」が設けられています。

この点数の合計点をもとに、私たちが支払う費用=診療報酬が計算されるのです。

例えば、親知らずにまつわる治療には以下のような点数が付けられています。なお、診療報酬点数は1点=10円として計算されます。

  • 臼歯(奥歯全般)…270点(405点)
  • 埋伏歯(まいふくし)…1,080点(1,620点)
  • 下あごの親知らずで水平埋伏歯、骨性埋伏歯などの場合…+130点(195点)

※6歳未満の乳幼児あるいは歯科診療が非常に難しい患者様を診療した場合、()内の点数となります。

参照:別表第二 歯科診療報酬点数表|厚生労働省

例えば臼歯の抜歯は270点であり、2,700円が診療報酬となります。

保険診療では自己負担金額が3割となるため、実際の費用は2,700円×30%=810円となります。

※抜歯にともなう麻酔の使用や痛み止めの処方などにより、実際に支払う費用はもう少し多くなります。

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2.【歯科矯正】保険適用外の親知らずの抜歯費用

保険適用外=自由診療での親知らずの抜歯費用は、5,000〜15,000円程度とされています。

基本的に、虫歯や歯周病といった症状の治療にともなう抜歯は、保険が適用されます。

しかし、歯並びを整えるといった理由で健康な親知らずを抜く場合、保険が適用されず自由診療となるのです

自由診療による抜歯といえば、歯科矯正が当てはまります。ちなみに、矯正治療で行なう抜歯を便宜抜歯(べんぎばっし)といいます。

歯科矯正で親知らずを抜くのは、大きく5つのケースに分けられます。

  1. あごの大きさに比べて歯が大きすぎる、または歯の本数が多すぎるため、歯を並べるスペースが不足しているケース
  2. あごの成長が不十分、またはあごが小さいため、歯科矯正によって歯を並べるのにスペースが確保できないケース
  3. 出っ歯や受け口など、噛み合わせが悪い状態を改善するために抜歯が必要なケース
  4. 親知らずが横向きに生えていて、矯正に支障をきたすケース
  5. 歯を後ろに移動させるためのスペースを確保したいケース

しかし、歯科矯正でも次の場合では、保険診療の対象となります。

保険適用になる矯正治療の内容

  1. 「別に厚生労働大臣が定める疾患」に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療

  2. 前歯及び小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)に対する矯正歯科治療

  3. 顎変形症(顎離断等の手術を必要とするものに限る)の手術前・後の矯正歯科治療

(引用:矯正歯科治療が保険診療の適用になる場合とは|公益社団法人 日本矯正歯科学会

歯科矯正で抜歯が必要かどうかは、歯科医院を受診して実際に相談してみましょう。

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3. 親知らずの抜歯費用を抑える方法

少しでも親知らずの抜歯費用を抑えたい場合、考えられる方法が2つあります。

(1)医療費控除を利用する

親知らずの抜歯費用を抑える方法として、医療費控除の制度を利用するという方法があります。

医療費控除とは、1年間(1月1日~12月31日)にかかった医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、確定申告をすることで税金の一部が還付される制度です

医療費控除が適用されるのは、1年間の医療費が10万円を超えた場合です(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%を超えた場合)。

医療費控除を受けるためには、確定申告の際に医療費控除の明細書と医療費の領収書を提出する必要があります。

(2)高額療養費制度

医療費の自己負担には限度額があり、それを超えた場合に「高額療養費」として支給される制度があります

高額療養費は、ひと月(1日~末日)にかかった医療費を基準に算出されます。

自己負担限度額は年齢や所得によって異なり、70歳以上の方や低所得者の方には、負担を軽減する制度もあります。

詳しくは、加入している健康保険組合や全国健康保険協会のホームページなどで確認してみてください。

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4. 親知らずを抜歯すべきケース・しなくてもよいケース

親知らずは、必ずしも抜歯が必要なわけではありません。抜歯が推奨されるケースと、しなくてもよいケースについてそれぞれ解説します。

(1)抜歯が推奨されるケース

親知らずがあることによって、口内に痛みや腫れ、開口障害といった様々な症状が出る場合があります。

親知らずが原因で以下のような症状が出ているか場合、早めに歯科医院を受診しましょう。

  • 親知らずが原因で何度も腫れや痛みを経験している

  • 親知らずや周辺の歯が重度の虫歯になっている

  • 親知らずが特殊な生え方(水平埋伏歯など)をしており、将来的に重大なトラブルに発展する可能性がある

  • 親知らずが矯正治療の妨げになっている

(2)抜歯の必要がないケース

歯を動かすスペースを確保するために抜歯するケースをのぞき、親知らずがまっすぐ生えていて噛み合わせに問題がない場合は、抜歯する必要はありません。

また、ブラッシングがしっかりできていて、親知らずに虫歯や歯周病のリスクが見られない場合も、抜歯する必要はないでしょう。

ただし、親知らずはブラッシングなどの手入れが難しい場所であり、放っておくと虫歯になりやすいという特徴もあります。

現時点で抜歯の必要がない場合でも、定期的に歯科医院で親知らずの状態をチェックしてもらうようにしましょう。

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5. 親知らずの抜歯に関するQ&A

抜歯を決意する前に、さまざまな不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

ここでは、抜歯に関するよくある質問に答えていきます。

(1)抜歯にかかる時間は?

親知らずの抜歯にかかる時間は、親知らずの生え方や状態によって大きく異なります。

例えば、まっすぐに生えている親知らずであれば5分から30分程度で抜歯が完了するケースが多いです

しかし、横向きに生えていたり、歯ぐきの中に埋まっている親知らずの場合は、抜歯に時間がかかる傾向があります。

以下は、親知らずの生え方別に、抜歯にかかる時間の目安をまとめた表です。

※あくまで目安であり、実際には個人差があります。

生え方

抜歯時間の目安

上の親知らず(まっすぐ生えている)

5〜15分

下の親知らず(まっすぐ生えている)

5〜30分

横向きに生えている(水平埋伏)

15〜60分

埋まっている(完全埋伏)

30〜90分

(2)痛みや腫れはどれくらい続く?

上の親知らずは、抜歯後に腫れや痛みを感じることはほとんどないとされています。

しかし、下の親知らずを抜歯すると、外見にも見て分かるほど大きく腫れることがあります。

腫れにともない、口を開けづらくなるため、食事や会話などが少し不便になります。

また、抜歯時には麻酔をおこないますが、3〜4時間ほどすると麻酔の効果が切れて、徐々に違和感や痛みを覚えるでしょう。

そのときは、歯科医院から処方された痛み止めを飲むようにしてください。

個人差はありますが、多くの場合は手術後1~2日ほどで痛みは弱まり、その後数日をかけて徐々におさまっていくでしょう

一方で、人によっては1~2週間痛みが続くこともあります。この場合、傷口に細菌などが入ってしまった可能性が考えられます。

さらに、「ドライソケット」と呼ばれる症状になると痛みは2週間〜1ヶ月と長期化してしまいます。

ドライソケットとは、親知らずを抜いた部分の骨がむき出しになったまま、そこが細菌感染してしまう現象です。

ドライソケットを予防するには、次の行動を意識してください。

  • 抜歯後しばらくはタバコを吸わない
  • 口の中を清潔な状態に保つ
  • うがいの頻度を減らす
  • 口を大きく動かす「ブクブクうがい」を避ける
  • 舌などで傷跡を刺激しないようにする
  • 抜歯当日の飲酒、激しい運動、熱いお風呂への入浴を避ける(血液循環がよくなり、血が止まりにくくなるため)

(3)抜歯後の食事はどうすればいい?

抜歯後、口の中の傷が完全に治るまでは、食事の内容に気を配る必要があります

抜歯直後は麻酔が効いているため、熱いものを誤って口に入れてしまったり、噛んでしまったりする可能性があります。

そのため、抜歯後2~3時間は食事を控えるようにしましょう。

抜歯当日は、刺激の強い食べ物は避け、柔らかく口当たりの良いものを選んでください。腫れや痛みが続く間はこの食事を続けます。

抜歯から2〜3日経過したら、徐々に通常の食事に戻して問題ありません。

ただし、辛いものなど刺激の強い料理は避けましょう。

抜歯から1週間が経過すれば、傷はほとんど治まっているため、通常の食事に戻して問題ありません。

時期

食事の例

抜歯当日

粥、スープ、プリン、ヨーグルト、豆腐など

抜歯後2~3日後

通常の食事(辛いものを避ける)

抜歯後1週間後

通常の食事

6.矯正治療にともなう親知らずの抜歯が気になる人はhanaravi(ハナラビ)

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親知らずの抜歯費用を、歯並びの状態や保険適用・適用外などさまざまなケースで解説しました。

親知らずの抜歯は、口腔内の健康を維持するうえで非常に大切です。

歯科医師の診断も参考にしつつ、親知らずの抜歯を検討してみてください。

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